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指導法研究

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指導法研究

基礎的読解力指導法

指導法概要

難関とされる全国学力・学習状況調査の国語条件付き記述問題を解かせるための指導法。児童生徒が主体的に思考や作業を行いつつ、国語記述式問題が解けるようになる。

本指導法における思考のステップ

本指導法の中で、児童生徒の思考は次の3ステップで構成されている。

①情報を探し出す
②理解する
③評価し、熟考する

①では「情報の取り出し」を実施する。文章全てを読んでいては時間が足りないため、見出しを読む、段落に分けるなどのスキルを活用しつつ取り出す。このようなスキルを活用する際には、ページをめくるといった基礎の基礎から行う。そこでついていけなくなる児童生徒が学校現場では数%いるためである。また、取り出した情報はそのままでは使えないため「情報の選び出し」を行う。資料名を丸で囲む、線で結ぶ、エアーライン(線で結べない場合)で結ぶ、といった思考を伴った作業を実施することで、理解しやすい文章へと変換する

②では「情報の取捨」を実施する。条件付き記述問題には、答える時に外してはいけない条件が記載されている。キーワードなどの内容や、敬体・常体といった文体表現のような条件を確認し、①で得た情報の取捨を行い、解放を導き出す。

③では「情報の整理」を実施する。記述問題には文体表現以外にも、字数制限、「から」で終える、二文を一文に変換するときに接続詞「し」を挿入するなどの詰めが必要となる。それらを確認の上、整理をすることで解法を導き出す。

指導法への感想(五十音順)


明石要一氏
千葉大学名誉教授/千葉敬愛短期大学長/文部科学省中央教育審議会委員
国語を苦手とする子どもたちが、黒板に答えを書き、花丸をもらう光景は、日本の教育の希望である。すべての子を対象に教育を行う公教育に必要な要素が散りばめられた指導法であり、授業の中で人権教育を行っている稀有な例である。子どもの自尊感情を高める授業方法を、是非、多くの先生方に知ってもらいたい。

堀田龍也氏
東北大学大学院情報科学研究科・教授/教育再生実行会議技術の進展に応じた教育の革新WG・有識者,中央教育審議会・委員,同新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会・委員
文レベルの分析的な読みの指導だけでなく,文章を構造で読む・書く指導が,これから一層重要となります。多くの不確かな情報が降り注ぐネット社会において,必要な情報の取り出しは生命線です。構造の読み取りは,プログラミング的思考にもつながります。椿原先生の指導法が,我が国の国語教育の,そして情報教育の国家的な課題を乗り越えようとするものだと注目しています。

向山行雄氏
敬愛大学国際学部教授・教職センター長/全国連合小学校長会顧問/前帝京大学大学院教職研究科教授
私が現役校長であれば、是非とも学校で取り入れたかった指導法だ。諸外国と比べ、言語技術を教える点で遅れている日本にとって、極めてシンプルな形で読解の方法を掴ませていく椿原先生の指導は、示唆に富むものである。作業により教える方法は、どの子にもでき、どの教科も応用できるものである。

どのクラスにもいる発達性協調運動障害がある児童生徒への対応

わかば療育園医療科泉医長が本指導への感想を次のように寄せた。

発達性協調運動障害(DCD)というのがあります。簡単にいうと「すごく不器用な状態の子」です。学校生活の中で一番子どもたちの失敗経験が目立ちやすいところで、一番障害の理解が得られにくいところです。例えば本指導の「ページをめくる」といった基礎的な指導は、そこに目を向けるということで、非常に大切な視点だと思います。こういう基礎から教え、問題を解けるようにさせていくことは、児童生徒にとって生きる糧となる成功体験を与えることにつながると思います。

児童の主体性を活かしつつ、時間内に学習の基礎から応用と言われる記述式問題を解くことまでがパッケージ化されているというのが本指導の特徴と言える。